誠の華−ヒルガオ−
数日に及ぶ土方の厳しい拷問の末に古高が吐いた内容がこうだった。
【御所に火を放ちその混乱に乗じて中川宮を幽閉し、一橋慶喜、松平容保らを暗殺して孝明天皇を長州へ連れ去る】
幹部会が開かれている中、雪は炊事場にいた。
今晩は夜通しで仕事だと土方から一足先に聞いていたのでみんなが夕餉を手軽に食べられるように、とおにぎりを用意していたのだ。
途中から幹部会が終わった源さんも手伝ってくれて何とか夕方までには作り終えると、古高が捕らえられている蔵に来ていた。
見張りの二人に事情を説明すると快く引き戸を開けてくれた。
蔵の中に足を踏み入れると血なまぐさい匂いとムシムシとした夏の暑さが漂う。
私は古高の側まで来ると驚愕した。
左目は開いておらず、腕や肩、背中とたくさんの場所に切り傷や打撲の痕があり、雪が島原で見た古高とはまるで別人だ。
中でも五寸釘を刺され、蝋を流された足は痛そう、なんて簡単な言葉では片付けられないほど酷かった。