誠の華−ヒルガオ−
「あんさんは確か…あの時の女子やな。なんや新撰組に女隊士がおる噂はあったが…まさかあんさんやったとは」
「お久しぶりです古高さん。騙してしまったお詫びとうちの者がした乱暴な行いをお詫びして傷を治させてもらいます」
雪は古高の傷一つ一つに手をかざして治していった。
「……妖の力かなんかは見当もつきまへんがわての傷なんか治してどないするつもりや?わては六角獄舎れ送られるんやで。あんさんも知ってはるやろ」
「だから、お詫びですよ。いつまでも痛いのは嫌でしょう?」
「…けったいな女子やな」
「ふふ、よく言われます。おにぎりとお水もここに置いておくので召し上がってください。それじゃあ私はこれで」
それだけ言うと雪は一度も振り返らずに蔵を後にした。
「新撰組は血も涙もない思ってましたが…どうやら違ごうてはりましたようやな」
古高は自身の不甲斐なさを噛み締めながら少し塩気の強いおにぎりを頬張った。
頰には無数の涙も流れていた。