誠の華−ヒルガオ−




蔵を出ると側にある松の木に背を預ける土方がいた。


「土方さん、彼の傷を治させてくれてありがとうございます」


「礼を言うことじゃねえ。そもそも俺がつけた傷だしな。それよりお前もすぐに支度をしろ。今晩は動ける隊士が少ねえんだ」


「承知」


現在新撰組では体調を崩してる隊士が多かった為、動ける隊士を総動員させていた。


今晩は古高奪還の会合が行われると山崎により分かったが、肝心の会合場所が分からなかった。


普段頻繁に行われている池田屋ではないか、と予想をしたが古高が捕まった今いつもと同じ場所で会合が開かれるとは思えない。


そこで土方が目をつけたのが四国屋。


しかし池田屋も捨て難いと言うことで近藤は隊を二つに分けることにした。


池田屋には近藤、沖田、永倉、藤堂等とそれぞれが率いる隊士たちを、土方は残りの者を連れて四国屋へ向かうことになった。


屯所には動けない隊士たちと山南、伝達に山崎が残る。


< 114 / 258 >

この作品をシェア

pagetop