誠の華−ヒルガオ−
「吉田…お前は、逃げろ……!!」
徐々に吉田の動きが鈍くなり始めた頃、死んだと思っていた男がよろよろと立ち上がった。
「石川!!生きていたのなら今のうちにお前が逃げろ!!」
「阿呆、俺は逃げたところでどのみち助からねえ。分かったらさっさと行け!!」
致命傷と思われる傷を負いながら吉田を突き飛ばすと石川、と呼ばれた男は雪に刀の鋒を向けた。
まったく、石川とか言ったかな。
こいつを相手してたら吉田を逃すことになる。
でも無視をすればきっと私だけじゃなく床に伏せている総司まで危ない。
二人を相手する力はまだないし、仕方ない。
きっと吉田を相手にする機会はまだあるはずだし。
「吉田、今晩は見逃してあげる。でも次会った時は…必ず私が捕らえるから」
石川を見据えながら言うと吉田は飛び降りた。