誠の華−ヒルガオ−
ー吉田sideー
俺は最低だ。
多くの仲間を見捨てて逃げてきた。
だが俺はそうしてまで果たさなければならない使命がある。
すまない、石川…、同志達よ。
フラつく体に鞭を打ち、死に物狂いで走って長州藩邸に辿り着いた。
ドンドンドンッッッ
「頼む!!開けてくれ!!!」
何度も長州藩邸の門を叩くがその門が開かれる事はなかった。
何故だ…何故なんだ……。
これまでずっと長州のため、日本の為に身を粉にして働いたのに。
悔しさに震える手で小刀を取り出した。
石川、命懸けで逃がしてくれたのに…すまん。
俺は小刀を迷うことなく腹に突き刺すと横に掻っ捌いた。
俺には守るべき名誉がある。
吉田先生、すぐにそちらへ向かいます。
月の浮かぶ夏の宵に長州の若き英雄は桜の如く、儚く散ってしまった。
ー吉田side endー