誠の華−ヒルガオ−
「あしは土佐藩士、石川潤次郎。この手で貴様を祀っちゃるき覚悟しろ」
なるほど、土佐藩士か。
なんて呑気に考えられるくらい余裕があった。
なんせ相手は手負いでいつ倒れてもおかしくない。
私はゆっくり少しずつ相手を斬っていく。
ズシャッ
「うぁ”ぁ!!」
一太刀浴びせるたびに声を上げる石川。
いつまでも痛みを味あわせるのは可哀想だから次で終わらせてあげよう。
「石川潤次郎、最期に言い残すことはある?」
「…カハッ……、くた…ばれ……、幕府の…犬ころめが……」
石川が血を吐き捨てて言うと私は心臓を一突きにした。
刀の血を振り払い鞘に収めると急いで総司に駆け寄った。
「総司、総司!!お願いだから起きて!!!」
ビンタを何発か喰らわせるも目は開かない。
だが僅かに胸が揺れていることから呼吸の確認は取れた。
安堵の溜息を吐くと突然ガタガタと階段を駆け上がる複数の足音が聞こえ、慌てて抜刀しだが飛び込んできたのは同じ浅葱色の羽織を纏った土方、斎藤だった。