誠の華−ヒルガオ−




「無事か?!」


土方にガクガクと肩を揺らされ無事を確認される。


やめて、脳が揺れる。


「私は無事です。それより総司を!」


「総司が倒れるなど…あり得ない。一体何が……?」


目を見開き驚きを露わにする斉藤だが雪も二階に来た時にはすでに倒れていた為、倒れてしまった経緯を知らなかった。


多少の切り傷はあるものの床に伏せるほどの傷でもない。


怪我の可能性が低いとすれば…病?


「取り敢えず見廻組も追っ払ったし、勤皇志士共も一掃した。屯所へ帰るぞ」


「「はい」」


下までは一君が総司を運んでくれた。


改めて周りを見回してみると今回はこちらの被害もそれなりに出ている。


屯所へ戻る前に一人一人、小さな傷でもちゃんと治すことにした。


「雪!雪!頼む、奥沢を見てやってくれ!!」


すると突然原田の慌てたような声が響き、振り返ると奥沢を抱えて走ってきた。


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