誠の華−ヒルガオ−
雪が退室するとずっと我慢していた総司の怒りの矛先が一に向いた。
「僕達は雪に幸せになってもらいたくて江戸に置いて来たのに何でわざわざ御丁寧に屯所まで運んでくれたわけ?」
「お前はあの雪の姿を見て幸せそうに見えるか?」
一の鋭い切り返しにグッと押し黙る総司。
それもそのはず。
雪は最後に見たときに比べてかなりやつれていた。
どこからどう見ても幸せそうには見えない。
「でも、京にいるよりはずっとましだ。それに雪は強いから……僕達なんか忘れてすぐに立ち直れてた」
「それは違う」
「…何が違うんだよ」
苛立ちが募り口調が強くなる総司。
「お前は今まで雪の何を見て来たんだ。あいつは強いんじゃない。弱さを隠すのが上手いだけだ」