誠の華−ヒルガオ−
「えーっと……なんかお邪魔みたいなので僕は帰りますね!!」
雪の視線に耐えきれなくなりバビューーーンっと颯爽に逃げていった裕次郎に溜息を吐きながら再び大門と向き合うと今度こそ足を踏み入れた。
そして一軒の置屋に着くと引き戸を開けて中に入る。
「御免くださーーーい!」
「へぇ、こんな真昼間に何か御用どすか?」
髷を結った番頭さんらしき人がのそのそと現れた。
「小鈴さんにお会いしたいのですがいらっしゃいますか?」
「すんまへんな旦那はん。昼時に遊女とは合わせられんのや。せやからまた宵に揚屋の方にお越しやす」
島原に女は入れない為、男装して来たがどうやら客と間違われているようだ。
仕方ない、少々荒っぽいがここは職権乱用とやらを使わせ頂こうか。
「私は新選組の者です。彼女から話を聞きたいので今すぐここに連れて来てください」