誠の華−ヒルガオ−



お酒を少し嗜みながら美味しい食事を堪能していると袖をチョンチョンと引っ張られた。


振り返って見ると悪戯っ子のような笑みを浮かべる小鈴がいる。


嫌な予感を感じながら「何?」と聞くと総司をチラッと見てから私の耳に耳打ちした。


「なっ…ど、ど、ど、どうって何がどうなの?!」


過剰に反応して質問を質問で返すと小鈴は着物の裾で口元を隠して上品にクスクスと笑っていた。


正直自分がここまで慌てる理由もよく分からないし顔に熱が溜まる理由もわからない。


「あんれーー?雪さん顔が赤くないですかぁーーー??何かあったんですかぁーー?雪さぁーーーーん」


「お、本当だ。どうしたんだよ女みたいな顔して」


こう言う時に限って面倒なものは寄ってくるものでデロデロに酔っ払った裕次郎とそれを介護する数馬に絡まれた。


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