誠の華−ヒルガオ−



普段はほとんど表情を表に出さず多く喋る事もない一君が唯一人間らしくなる場所。


それが鍛冶屋。


数年共に過ごしてきた私達も少し笑ってしまうほどの変わりようである。


馬鹿にしたような笑いではなくおもちゃを見つけた子供を見る親のような目線だ。


一君は刀を研いでもらっている間に何かを購入していた。


「一君、何を買ったの?」


気になって聞いてみると包みごと渡された。


「見ていいの?」

「あぁ、お前に買ったからな」


予想外の言葉に驚きながら包みを開けてみると中には鐔が入っていた。


手にとってみると所々に桜型に穴が開いていたり、金で書かれているとてもお洒落な鐔だ。


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