誠の華−ヒルガオ−
どのくらい頭を下げていただろうか。
きっと随分と短い間だっただろうが私にはとても長く感じた。
暫く静寂に包まれた道場だったが1人の男の笑い声によってそれは打ち破られた。
「お嬢さん、何か勘違いしているみたいだな。ここは女人禁制の男所帯。主な仕事は暗殺業だ。あんたみたいな奴がくるような場所じゃない」
「そんなの分かっています。全てを承知した上で京に上りました。お願いします、どうか私の入隊を認めてください」
優しく突き放す男に噛み付くように反論する。
聞き分けがないと思われたって良い。
厄介者に思われたって良い。
嫌われたって良い。
新撰組に入隊できて、みんなを側で支えられさえすれば。
「剣も握れないくせによく入隊したいなんて言えるなぁ」
「誰が握れないだなんて言いましたか?」