誠の華−ヒルガオ−



平助と微笑み合っていると突然間を割って入ってきた総司に腕を引かれた。


後ろで何か平助が言っているが私の耳に届くことはない。


総司が掴む腕から顔にかけてジワジワと熱を持ち始めたのだ。


「もう、総司!私着物だからそんなに速く歩けないよ!それに平助達があんなに遠くまで離れちゃったじゃない!」


そう言うと我に帰ったのか突然足を止めて私にだけ謝る。


そして平助達が追い着くと再びみんなで歩調を合わせて目的地へと足を進める。



何なのよ、さっきの総司は。


あれじゃあまるで…私と平助に嫉妬していたみたいじゃない。


顔に熱が溜まり、パタパタと女将さんがおまけでくれた扇子で顔を扇ぐと高い背を屈めて一君が顔を覗き込んできた。


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