誠の華−ヒルガオ−
千代がくれた折り鶴を受け取ると私は千代の頭を撫でた。
「ありがとう、千代。すごく嬉しい!大切にするね!」
「うんっ!」
嬉しそうに元気よく返事をすると千代は近くにいたお母さんの手を握って家の中へと戻って行った。
未だその場にしゃがみ込みながら折り鶴を眺めていると総司等の足音が近づいて来た。
私の存在を忘れて先を進んでいたな。
と気づくが敢えてそれを口にすることはしなかった。
千代がくれた優しい贈り物がそんな気にさせてくれたのだ。
「どうしたの、その折り鶴」
さっきまで持っていなかったよね、と聞いてくる平助に私はここ最近で一番穏やかな顔をしていたと思う。
「もらったの、京を助けてくれてありがとうって」