誠の華−ヒルガオ−




「平助、私は西を行くからそっちは東をお願い」


「わかった、気をつけろよ」


体調が優れない総司の代わりに一番組の隊士を引き連れ逃げ遅れた市民達の避難誘導に当たる。


女も子供も関係なく焼死体や流れ弾に当たった人達をみて関係のない市民を巻き込む長州藩への恨みが募る中、私はこの間の非番で訪れた道を巡察していた。


「ここは大丈夫そうみたいね。よし、次に行くよ!」


声を張り上げて隊士達を誘導するとどこからか微かに子供の泣き声が聞こえてきた。


「裕次郎、みんなを引き連れて次の地点へ行って」

「雪さんはどこに行くんですか!」


「子供の泣き声がするの。多分一人で大丈夫よ。任せたからね、裕次郎」


後ろから聞こえる裕次郎の声を振り切って子供の泣き声のする方へ走り出す。


徐々に泣き声が大きくなり、辿り着いたところは折り鶴をくれた千代の家だった。


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