誠の華−ヒルガオ−




泣き声が徐々に小さくなって行き、焦りが募って行くと最後の部屋に辿り着いた。


スパンッッッッッ


「千代っっっ!!」


「おねぇ…さん……、たす…けて……」


蚊の鳴く声で助けを求めている千代は煤に塗れ、衣装箪笥の下敷きになっていた。


「千代!もう大丈夫だからね!!私が助けてあげる!!」


衣装箪笥は思ったより軽く、女の私でも軽々と持ち上げられたのが不幸中の幸いだ。


私は羽織を脱ぐと千代を包み、部屋を駆け出した。


ガラガラガッシャンッッッ


「きゃあっっっ!!」


天井が崩れ落ちて来たお陰で階段が完全に崩れ落ちてしまい、一階に降りる事ができない。


「どうしたら……っ!」


千代が倒れていた部屋には確か雨戸があった。

火の影響で構造が弱くなっているはず。


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