誠の華−ヒルガオ−
「はぁ…はぁ…はぁ…………」
肩で呼吸をしながら後ろを振り返ると長い茶髪を一つに縛り、額には鉢金。
浅葱色の羽織を身につけ愛刀菊一文字を片手に私達を救ってくれた男がいる。
「総司…」
驚きのあまり掠れた声で名前を呼ぶと総司の目が私に向く。
月夜に照らされた総司の目は正に【壬生の狼】だった。
「助けてくれてありがとう。でも体は大丈夫なの?」
「怪我がなくて良かった。僕のことは心配しなくても大丈夫だよ。土方さんが心配性なだけさ。それよりその子を早く安全なところへ」
総司の声に我に帰ると千代の脈を確認するべく首筋に手を当てる。
しかし。
ーーーー…脈が取れない。