誠の華−ヒルガオ−




そう聞くと勇さんは自身の背に隠していた少し大きめの葛籠をおずおずと差し出した。


それを開けてみると中には大量の紙。


一体これがなんだと言うのだ、と視線だけで訴えるが勇さんといえば目線を逸らしてなかなか合わせてくれない。


そこで助けを求めるようにして土方に目を向けると彼は眉間を摘みながら溜息をつくと私に説明をしてくれた。


「それはこの1年間で江戸から送られてきた手紙だ。差出人はーーー」


その名を聞いた途端、私は葛籠の蓋を持った状態で暫く静止した。


スパーーーーーーーーンッッッ!!!!


その手紙の意味するものを理解すると私は一目散に勇さんの部屋から逃げ出した。


「捕まえろっっっ!!絶対に逃がすなっっっっっ!!!!」


背後から土方の怒鳴り声が聞こえると三人が慌てて追いかけてくる足音が聞こえた。


逃げないと!!


絶対に捕まりたくない!!!


その一心で私は行儀が悪いと思いながら着物の裾を持ち上げると全速力で駆ける。


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