誠の華−ヒルガオ−
死に物狂いで逃げながらそんなことを考えていると三方向から囲まれた。
逃げるには縁側を降りていくしかないが生憎下駄を持ち合わせていない。
だが手段を選んでいる暇もない。
私は意を決して足袋のまま縁側に降りると屋根に飛び乗った。
「おい雪!!今すぐ降りてこい!!20両がかかってんだ!!!」
「しったこっちゃないわ!!さようなら、金の亡者どもめ!!!」
最後に数馬に決め台詞を吐き捨てると地面に綺麗に着地。
今日は夜までどこかで時間を潰そう。
そう思っていた。
背後から捕らえられるまでは。