誠の華−ヒルガオ−




無理矢理連れて行こうとはせず私の意思を尊重しようとしてくれる勇さんの優しさに胸が暖かくなった。


周助先生やおふでさん、つねさん、たまに、会いに行こう。


「私も連れて行ってください」


そう言うとみんな笑って頷いてくれた。


「ところで平助はなんでずっとここにいるわけ?」


ずっと疑問だったことを聞くと待ってましたと言わんばかりに立ち上がった平助。


聞かなきゃよかったかしら、なんて今更ながら思う。


「実は江戸に当てがあってその人を勧誘して行くんだ!」


「へぇ、歳さんはくるの?」


「いや、俺は留守番だ」


聞いたくせに興味なさげに返事をする雪を平助は恨めしそうに見つめるが全く気にしない。


「で、出立はいつですか?」


「明日だ」


こうして私達は江戸へ行くことになった。


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