誠の華−ヒルガオ−
「江戸はあったかいね」
「俺らを疎む奴もいないしな」
せせらぎの音に耳を澄ませながらしみじみと言う。
長月、ちょうど一年前の今頃に一君が迎えに来てくれた月だ。
去年は一人ぼっちでここにいたのに今は隣に平助がいてくれる。
「試衛館を飛び出して、本当にたくさんの人に心配かけたけど…私はやっぱり京に行って良かった。私の選択は間違っていなかった」
夕陽に照らされる雪の横顔が美しくて見惚れていた平助。
返事がないことを不思議に思った雪が振り返る。
「どうかした?」
「あの…さ…、俺…ずっと子供の頃から…「雪ーーっっっ!!!」
「っっ、おミツさん!!」
平助の言葉を遮った逞しい声はミツだった。