誠の華−ヒルガオ−



おミツさんが突然おかしなことを言うからお味噌汁を噎せてしまった。

お陰で味は全くわからない。


「確かに雪はもう行き遅れているから総司が嫁にもらってくれたら私も安心するんだけどねえ」


おふでさんまで便乗しだす始末だ。


その光景を見てつねは笑っているし。


「もうその話はやめて。総司は私なんかよりももっとお淑やかな女の人をお嫁に貰った方が良いわよ。沖田家もそっちの方が安泰でしょう!」


照れ臭くて思ってもいないことを言ったせいで胸がチクリと痛んだ。


でも確かにその通りだ。


私みたいな人斬りはもうお嫁に行けない。


総司には私なんかよりも綺麗でお淑やかな女の人の方が似合う。


必要以上にお味噌汁をかき混ぜる雪を見て炊事場にいる者達は悟った。


雪が総司への想いに気付いたことを。



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