誠の華−ヒルガオ−




宴会は大盛況で酔っ払い達が大暴れをしていた。


そんなうるささから逃げるようにして縁側に立ち寄ると先客が。


「あら、雪も抜け出して来たの?隣にいらっしゃい」


いつかと似たような状況に懐かしさを覚えクスリと笑みを零すと素直にミツの隣に腰を下ろす。


秋の訪れを感じさせる虫達の声に耳を傾けながらミツの横顔を盗み見みた。


月に照らされたその横顔から感情を読み取ることはできない。


「総司は…本当に元気なのよね?」


そんなおミツさんの問いに、私の心の臓は冷え固まった。


何故そんなことを聞くのか。


きっと彼女は”何か”に勘付いている。


総司ですら気付けていない、何かに。


「…おミツさん、これを見て」


返す言葉が見つからずにいると、ふと首に下がるターコイズの存在を思い出した。



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