誠の華−ヒルガオ−




総司の部屋まで行き、松本先生に呼ばれていることを伝える。


「ありがとう。雪、悪いんだけどお団子買ってきて貰ってもいい?」


「……一緒に…松本先生の話を聞いちゃ駄目かな?」


駄目元で頼んでみるが総司は笑って「駄目」と言うと私の横を通り過ぎて行った。


きっと、お団子をお願いしたのも私に松本先生との話を聞かれたくないからなのだろう。


トボトボと足元を見つめながら歩いているとドンっと鈍い音を立てて誰かにぶつかった。


顔を上げると眉を寄せた伊東さんに睨まれた。


「しっかり前を見て歩きなさい」


「はい、すいません」


私がぶつかったのだから素直に謝り、未だ不満気に顔を歪める伊東さんの横を通り過ぎようとすると肩を掴まれる。


「あなたとは少しお話がしたいと思っていたんです。今から私の自室へいらっしゃい」


「いえ、私はこれからお使いに「参謀に一隊士のあなたが逆らうの?」


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