誠の華−ヒルガオ−



その頃、屯所では。


総司が少し変色したターコイズを眺めながら縁側に座っていた。


「総司?どうかしましたか?」


そんな総司の姿を見て心配そうに眉を寄せながら問う山南に総司はヘラっと笑うと「何でもありませんよ」と言って再びターコイズに視線を落とす。


これ以上話しかけるなと言うような総司の態度に山南はやるせなさを感じながら廊下の奥に消えていった。


「ふっ。労咳だった……なんて、誰にも言えないよ」


総司の嘆きは誰にも聞かれる事なく木枯らしと共に流れて言った。



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