誠の華−ヒルガオ−
総司と別れた後、私は山南さんの元へ向かっていた。
見張りをしている数馬に話をつけて中に入ろうとすると突然襖がスッと開き、中から意外な人物が現れた。
「伊東さん…何であなたが」
無意識のうちに私は彼を睨みつけた。
でも彼は絶望にも似た色を宿した瞳で私を見ると苦笑を浮かべて首を横に振った。
まさか彼も私と同じことを?
だとしたら山南さんは…っ……。
「山南さん、失礼します!」
返事も聞かずに襖を開けると驚き目を見開く山南さんが目に入る。
「お願い、山南さん!今すぐ逃げてください!あなたに死んでほしくないの!!」
泣きながら山南さんに訴えると山南さんは困ったような笑みを浮かべながら私の涙を拭った。
「私は伊東さんが来てからと言うもの誰からも必要とされず役に立てていませんでした。最近は隊の規律も乱れ始めていたのでここで私が切腹をしたら局中法度の厳しさを隊士達も分かるでしょう」
「嫌だ…っ、お願い…やめて!山南さんは新撰組にも私にも……っ、必要不可欠な存在なの!!いなくならないで!!」