誠の華−ヒルガオ−




気付いた時には私の部屋にいて、側には総司と平助、一君が側にいた。


外は少しずつ太陽が顔を出したのか明るくなり始めている。


襖を開けてみると綺麗な朝焼けに鳥が歌いながら羽ばたいていた。


いつもなら心を和やかにする風景が今は腹立たしい。


今日、山南さんは切腹をする。


部屋を振り返ると三人共現実を受け入れようとしているのか頭を垂れて動くことはない。



もう一度、もう一度だけ山南さんのところへ行こう。


夜が明けて気が変わったかもしれない。


足を踏み出した途端、手首をぎゅっと掴まれた。


振り返ると音も立てずに私の側に移動をした一君がいる。


「離して。もう一度山南さんに会いに行くの」


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