誠の華−ヒルガオ−




息を切らして山南さんの元へ向かうとそこには歳さんと…


「明里さん…?」


思わず声を出すと瞳を赤くした歳さんが振り返る。


泣いていたの?とは聞けない。


格子越しに手を絡ませながら涙を流す明里さんと微笑む山南さんを見て再び涙が溢れ出した。


「山南はん、お願いや。あちきと逃げておくんなまし…」


「すまない。お前は幸せになってくれ」


最後に山南さんは明里さんの頰を優しく撫でると中へ戻り、一度も顔を見せなかった。


その場で泣き崩れる明里さんに誰も近づけない。


私達ですら辛いのに彼を愛していた明里さんはどんな想いで涙を流しているのか。


それは計り知れない。


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