誠の華−ヒルガオ−




一人、縁側で涙を流す雪を見て土方もまた涙を流していた。


俺が西本願寺へ移転するだなんて言ったのがいけなかったんだ。


ただでさえふさぎ込んでいた山南さんに、俺が引き金を引いたんだ。


山南さん、俺は本気であんたを尊敬していたんだぞ。


鬼と仏は分かり合えねえのか?


悔しさ、不甲斐なさ、悲しさを込めて血が滲むほど強く拳を握る。


己の提案で、作った法度で、消えた同志を思い、土方は京に登って初めて声を出して泣いた。


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