誠の華−ヒルガオ−
行き場のない怒りに包まれ溢れる涙にさえも苛立ち、赤くなる事も気にせずに思いっきり目を擦る。
すると角から出てきた平助とバッタリ顔を合わせてしまった。
気まずさからか平助が私から顔を逸らすと驚きで一瞬忘れかけていた苛立ちが再び沸き起こる。
「何なのよ。そんな態度を取るなら着いて行かなければいいのに。ずっと一緒だった私達よりも余所者を選ぶだなんて…。平助は私達を裏切らないと思ってたのに!!!!」
「余所者なんかじゃない!!あの人は天涯孤独の俺を育ててくれた恩師なんだ!!!雪に俺の気持ちが分かるわけない。いつだって人の話を聞かずに自分の意見を押し付けるような雪になんて」
全ての怒りを吐き出すように怒鳴りつけると、平助は眉間に皺を寄せて初めて私を怒鳴りつけた。
衝撃が強くて一瞬肩を揺らすが、負けじと鋭く私を睨む平助を睨み返す。
「確かにそうかもね。でも平助は話そうとしてくれたことあるの?私や、総司に、一度でも。御陵衛士に参加することを相談しようと、したことあるわけ?」
そう聞くと一瞬おし黙るもすぐに言い返される。
「ないよ。こんなこと、言えるわけないじゃないか。第一、俺はお前達を裏切ってない。近藤さんや土方さんのことだって慕ってる。でもお前だって気づいてるんだろ。俺達の思想が食い違ってる事に」