誠の華−ヒルガオ−




日が沈み、顔を腫らせたままではみんなに心配をかけるので井戸に顔を洗いに行く。


するとそこでは背を丸めて咳き込む人物がいた。


目を凝らして見るとそこにいたのは総司った。


「総司、大丈夫?」


背中に手を当てて顔を伺おうとすると手を振り払われた。


予想もしなかった出来事に驚き、固まっていると総司はごめん、と短く謝る。


「風邪、移したくないから」


そう言っていたけど、本当にそれだけなのだろうか。


「そんなことより平助と恋仲になったんだね」



突然、温もりをなくした声音で言われてさっきの平助の涙、分かり合えない心を思い出す。


恋仲になったと誤解をしていると言う事はあの場面を見られていたのか。


「良かったね、お似合いだよ凄く」


鋭利な言葉にただでさえ弱っている心が簡単に傷つけられる。


本当にそう思っているの?


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