誠の華−ヒルガオ−




「恋仲に…なってないんだけど……」


震える声で言うと一瞬だけ総司の目が見開かれた気がした。


「何だ、やっとくっついたと思っていたのに」

しかしその姿は幻だったのか、すぐに冷えた表情に戻る。


「本当に…そう思っているの?」


「っ、……何で…泣くんだよ」


苛立たし気に問われ、初めて自分が泣いていることに気づく。


平助とお似合いだと言われることが嫌わけじゃない。


総司がそう思っている事が悲しくて、苦しくて、涙が溢れる。



「そんなこと、言わないでよ…。私が好きなのは総司だけなんだから…」



総司の目が今までに見た事がないくらいに大きく見開かれる。


自分でも驚いた。


言うつもりなかったのに。


< 253 / 258 >

この作品をシェア

pagetop