誠の華−ヒルガオ−





きっと総司は今自分がどんな顔をしているのか気がついてないんだろうな。




彼が連れて来てくれたのは廃寺にも関わらずとても綺麗。




樹齢何百年の銀杏の木が圧倒的な存在感を放ち、それを飾るようにして紅葉が立ち並んでいる庭園は私達の感情を簡単に操ってしまう。




「…何で、ここに連れて来てくれたの?」




疑問に思い尋ねてみると総司は笑みを消して私を見つめた。



しかしそれは今朝までの冷たい目ではなかった。




「もう江戸に帰る気はないんだね、雪は」



「ないよ」




唐突に言われたにもかかわらず脳の察知能力は絶大で、間髪入れずに切り返した。




「つまり雪は新撰組に入隊して僕のように人斬りになる覚悟ができたって事か」




そう言うなり鋭利のような視線が私を貫いた。



こんな目をした総司、初めて見た。




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