誠の華−ヒルガオ−
何を言われたのか分からなかった。
なぜ、なんのために私に嫌われようとしたの?
逸る気持ちをグッと堪えて続きを待つ。
「僕のことを嫌いになれば江戸に残されても雪は寂しくないとおもってた。でもそれは間違っていたね。君を傷つけて終わっただけだった」
そう言った総司の悲痛な顔に視界をボヤけさせながら俯く総司の頰に手をそっとあてた。
「どうして…?どうして総司は私の為に自分を傷つけるの?」
「………大切、だから。雪が…何よりも大切だから」
今にも泣き出しそうな顔をして総司は私に言ってくれた。
「馬鹿だね、総司は。どんなに突き放されたって嫌いになるわけないのに」
私よりも随分と背丈の伸びた総司の頭をギュッと抱きしめた。