誠の華−ヒルガオ−




「雪、しっかりしろ!」



「っ!」



総司に怒鳴られ、ようやく震えが治った。



「ごめ…なさぃ…。もう大丈夫…」



蚊の鳴く声でそう伝えると総司は雪を抱きしめていた腕を解いた。



解かれるまで抱きしめられていることに気づかなかった。




もしかしたら怒鳴られたから震えが止まったのではないかもしれない。




一人冷静にそんなことを考えていると前から四番組が走ってきた。




「竹田さん、後処理をお願いします」



「あぁ、任せろ」




その後のことはよく覚えていない。




でも気づいたら夕餉も終わって褥に横たわっていたから任された仕事はちゃんとやっていたんだと思う。



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