誠の華−ヒルガオ−
今日の巡察で京の人達が忌み嫌う新撰組の姿が垣間見えた気がする。
彼等はなんの躊躇もせずに簡単に浪人を斬り殺していた。
そして私も彼等が殺されるのを黙って見ていただけに留まらず、最後はこの手で人を殺めた。
私には人を治癒し、生き返らせることができる特別な力があると言うのにも関わらずね。
新撰組に入隊したからには受け入れる必要がある。
頭ではちゃんと分かっている。
そもそも京に上ることを決意した時点でその可能性だって受け止めていたはず。
だけど実際に人の命をこの手で終わらしたことが私の心を迷わせていた。
「雪、起きているのか?」
グルグルと答えの出ない悩みを頭で回転させていると襖越しに声がかけられた。
この声は勇さん?
「起きてます。どうぞ」
羽織を一枚着ると勇を中に招き入れた。
「こんな刻に悪いな」
「起きていたので大丈夫ですよ」