誠の華−ヒルガオ−
一体こんな夜更けにどうしたのだろう。
私の前に腰を下ろした勇さんを見つめていると口を開けた。
「今日の巡察でお前が刀を抜いたと聞いた」
そのことか。
優しい勇さんのことだから心配して来てくれたんだろうな。
「俺が初めて人を斬ったのは歳を守るためだった。歳を守れたから後悔こそしなかったが自分がした事が本当に正しかったのか、しばらく飯も喉を通らなくなるくらい考え込んでいた」
それって今の私と似ている気がする。
「その答えは出たんですか?」
雪の問いに勇は首を横に振った。
「人を殺めることはどんな理由があるにしろ決してしてはいけないことだ。だがこの世を生き延びる為には、自分の大切な人間を守る為には正しいか正しくないかなんて言ってる暇はない。一瞬の隙が、迷いが命取りになる」