誠の華−ヒルガオ−
勇さんの言葉は恐ろしいくらい私の胸に重く響いた。
「雪、お前の今日の行いは決して間違っていない」
そう言いながら勇は雪の頭を撫でた。
それは雪の涙腺を簡単に破壊させた。
「お前は人一倍命を重んじている。それは素晴らしいことだ。新撰組に入隊したからと言ってそれは忘れてはいけないよ」
「はいっ…!」
その後、泣き疲れて眠ってしまった雪の側を勇はしばらく離れられなかった。
「何やってんだ近藤さん」
たまたま雪の部屋の前を通りかかった土方に少しだけ開いていた襖から近藤の姿が見えていた。
「歳、雪が初めて試衛館に来た時のことを覚えているか?」
「…当たり前だ。何たって雪を拾ったのは俺と総司だからな」
唐突にそんな事を聞いて来た近藤を訝しむが、あまりにも雪を見つめる眼差しが優しかった為に真面目に雪が試衛館に訪れた日の事を回顧した。