誠の華−ヒルガオ−




「ふむふむ、そこで土方さんはお凛さんに目をつけたと。なるほどね。で、三人の見解は?」


「俺は白だと思う。だってもし本当にお凛があの事件に関わってるとしたら一人、二人くらい店で死んでいてもおかしくないだろう」



得意げに話す平助だが、店で死人をだせば速攻お凛が犯人だと分かってしまう。



だからお凛もわざわざ夜な夜な武士狩りに出ていたのだろう。


お凛が犯人なら、の話だが。


やっぱり平助は頭が少し足りない。


「お凛は絶対に黒だ。総司は一度もあの女に名乗っていないのにあいつは総司の事を”沖田さん”と呼んでいたんだぞ」



「そりゃ総司は一番組組長として有名だから知っていたって変じゃないだろう」



「だが総司は今羽織も着ていないのに新撰組の人間だって分かるか?」



平助と一が言い合いを続ける横で私は先程の凛の動きを思い出していた。


「ねぇ、三人は気づいていた?お凛さんから足音が聞こえない事に」



三人が息を呑む音が聞こえて後ろを振り向く。



「あの人は黒よ。でも足音がない事と総司の名前を知っているくらいじゃ証拠として成り立たない。私達は引き続きお凛を見張りましょう。それから夜の巡察を強化するように土方さんに伝えなくちゃ」



「あぁ、急いで屯所へ戻ろう」



平助の言葉に頷くと私達は屯所までの足を速めた。


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