誠の華−ヒルガオ−
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「分かった、引き続き頼む。今夜の巡察は確か三番、八番組だったな。斎藤、平助、抜かるなよ」
「「御意」」
「それと、これから潜入してもらうお前達に会ってもらいたい奴がいる。入れ!」
土方が呼びかけると天井の板が一枚外れて人が降りてきた。
「諸士調役兼監察方として入隊しました。山崎烝と言います。宜しくお願い致します」
「うぉー!かっけえ!!!本物の忍びだ!!!」
説明しなくても分かりそうだが一応しておくと、山崎を見て大興奮をしているのは平助だ。
「山崎、こいつらに潜入捜査の仕方を教えてやれ」
「御意」
「待ってください、副長!私たちよりも山崎さんの方が潜入には適しているのではないでしょうか?」
思ったことを素直に聞くと土方は呆れたように溜息を吐いた。
その姿にムッとするが今は山崎がいるためにグッと堪える。
「お前の話によれば凛には忍びの疑いがあるだろう。なのに忍びの山崎を潜入させてみろ。見張られることなんざ容易く気付かれるわ」
まるで平助を見るような目で見られ沸々と怒りが湧いてくる。
しかし私は平助とは違う。
頭だけでなく忍耐力もある。
そう簡単にブチ切れたりなんて……
「それに比べて雪は感情が馬鹿正直に出る。足音だってうるさい。そんな女がまさか己を見張ってるだなんて思わないだろう」