誠の華−ヒルガオ−
鈴みたいな話し方をする小鈴さんからは想像もできないようなドスを効かせた声に私は酷い言葉を浴びせてしまった自分を呪った。
不安に押し潰されそうになったからって他人になんて酷い事を言ってしまったのだろう。
「あの…小鈴さん……私…、ごめんなさい」
「ええんどす。ええどすから…お勤めが終わり次第、早急にお引き取りくださいまし」
それから小鈴さんは最後の仕上げを済ませると私と山崎さんだけを部屋に残してさっさと出て行ってしまった。
「…んもぉーーーーー!!!!」
髪を掻きむしりたい衝動に襲われながらもこれ以上小鈴さんを怒らせるわけにはいかないと何とか押しとどめながら唸り声を上げる。
「あれはないですよ雪さん。せっかくの協力者に暴言を浴びせて泣かせるだなんて」
軽蔑の眼差しを向ける山崎を恨めしげに睨み付けると一瞬だけ肩を揺らしたのを雪は見逃さなかった。
「言われなくてもわかってますよ!!私だって本当はあんなことちっとも思ってなかったし…なんて言うか…気付いたら口が勝手に動いていたって言うか……」