内実コンブリオ
それから幾日が過ぎた。
今だ咲宮 華さんの観察は続いている。
日記をつけるのは、さすがにやめたけど。
今日も本を読んでいるあの子。
でも、今日は少し違う事が起こった。
何かが妙だ。
咲宮 華さんの周りには、珍しく女子が4、5人くらいいる。
何を話しているんだろうか。
そもそもあの子、喋るんだな。
当たり前か。
でも、本当によく考えたら、一度もあの子の声を聞いたことがない。
気づけば、咲宮 華さんに話しかけていた女子たちが話し終わったのか、俺の近くの席の女子のところに集まってきた。
そして、こんな事を女子たちで話しはじめた。
「あいつ、何も喋らんやん」
「笑いもしやんな」
「なー」
「しかも、なんか隠したし、うちら行ったら」
「絵ちゃう?」
「なんにせよ感じ悪。せっかく仲良くしたろうと思ったのに、何なん?あの態度」
「むっちゃ腹立つんやけど」
あー、やめやめ。
まだまだ何か訳のわからん事を話していたが、俺にはただ胸クソ悪いだけだったから、耳をふさいだ。