内実コンブリオ
ただでさえ落ち着けないくせに、今まで思ってもいなかった自己嫌悪に陥ってしまう。
自分の目的を見失ってしまう。
先ほどまでの戦隊ヒーローについて長々と語っていた自分に逆戻りしてしまう。
いけない。
「あの…すいませんでした…」
そう、ここから逃げ出さずに居残ることを決めた目的とはこれだ。
謝りたかった、ということ。
やっと自分なりの本題を切り出すことができた。
そんな風に安堵していた。
気を抜いていたともいえる。
「何なん、それ」
やっと声を発してくれたと思えば、予想はしていたが、ここまでひどいとは正直思わなかった。
その声はあまりにも低く、囁くような小さなものなのに、しっかりと聞き取れてしまった。
きっと初対面の人でも、ひどく機嫌が悪いということがわかるほどに、だと思う。
しかし、ただ一声を聞くだけでこんなにも時間がかかるとは思わなかった。
そして、より長くなるであろう延長戦へと突入することになるのではないかと思うと、ぞっとするというものだ。