内実コンブリオ
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何やら異様な程、昼からの仕事分が多い気がしてならない。
これはもしかしなくとも、角野先輩の陰謀なのか。
今の精神状態では嫌でもそう思ってしまう。
昼のお弁当を食べていないから、正直最後までやり遂げられる自信がない。
が、とにかくやらなければ帰ることも出来ないわけで。
残りを明日にまわすなんてのもごめんだ。
記入事項を確認し、過去の書類が必要だと判断した自分は、重い足取りで書庫へと向かう。
書庫の扉の隙間からは明かりが少し漏れていた。
自分の様に用事がなければ、滅多に人の来ないところの一つなはずなのだが。
「失礼しまーす…」
そっと扉を開いてみる。
何やら奥の方でゴソゴソと物音がし、誰かが居るとわかった。
そして、自分はその誰かが、角野先輩でないことを祈って扉を静かに閉める。
「…っ?!」
目的の書類のある棚を見つけてみれば、そこに女性がうずくまっていた。
髪が長めで顔もあまりよく見えない。
ちょうど棚と壁の角のところにいる。
その光景はまるでホラーのワンシーンの様で、身体中の神経が一瞬固まってしまった。
一人でいるこの女性に、これは声をかけるべきなのか、かけない方がいいのか。
戸惑っていた自分だが、よく見れば肩を震わせている。
多分泣いている様だ。