内実コンブリオ
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さっき森緒が華ちゃんを引っ張って、どっか行きよった。
さっき言うても、大分前やけどな。
しかし、相変わらず、騒がしい奴やな。
うるさい女は苦手やし。
俺は、はっきり言って、女の好き嫌いが激しい。
昔にもすぐ泣く奴も苦手やって、言った記憶がある。
やから、華ちゃんが理想の子やな、なんて思ってしまった。
静かで泣かない、わがままが少ない子。
でも、その理想は、俺にとって都合のいい子が好きって言っとる様なもんなんじゃないか、って気づいてしまった。
やからこそ、その子の異変に一番に気づいて、俺が、少しでも心を楽にさせてあげれたらって。
大きなお世話、やったんやろか。
「どうぞー、お茶です。たまには休憩してくださいね!」
「おっ、いっつもありがとうね、森緒ちゃん」
「いえいえー」
俺の隣の席の奴に、例のうるさい奴が茶を運んで来よった。
このタイミングは、偶然。
そう、願いたい。
その時、森緒と偶然、視線が合った。
そして、何を思ったか、相手はいかにも怪しい笑みを浮かべた。
「角野さんは、もう少し待っててくださいね。ウフッ」
なんやねん、ウフッって。
なんか有ること、決定やんけ!
なんや?今から角野さんのだけ、雑巾しぼって、茶淹れますから!ってか。
こいつ、俺を何やと思っとんのや!
上司やぞ、上司!
「か、角野先輩。後ろから失礼します。お茶です」
ほら、これや!上司に対する態度はこっちが正解や!
「おう、ありが──