内実コンブリオ
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やった…!
思わず、そう叫んでしまいそうだった。
角野先輩が、目を一発で合わせてくれた。
角野先輩が、ぎこちないとは言えども、笑ってくれた。
角野先輩が、角野先輩が…!
そんな風にお盆を胸に抱えて、舞い上がっていた時だった。
「なぁ」
「な、何っ?!」
「もっと喋りなよ」
何を言うか。随分喋った方だぞ。
何てったって、一往復もラリーが続いた。十分ではないか。
「こ、これで、十二分幸せですからっ」
「甘いなっ。あれじゃあ、親しい上司部下の関係ですらないやん!遠すぎっ。見てられやんわ」
親しい上司部下ですら、ない。
その言葉に思わず、黙らされてしまった。
ほんのついさっきまで満足していたはずだったのに。
関係の物足りなさからか、またも、もやもやが沸き上がる。
そうだ、ある時点に至るまでは、それ以上の関係になりかけていたはずだった。
食事にも誘っていただいて、仕事中にもふざけ合っていた、それなのに。
一体、いつから……