内実コンブリオ
考えても今は、いや、きっとずっと、わからないのかもしれない。
時間に従い、もやもやしたまま、作業を再開した。
心なしか、頭痛がする。
資料に目をとおしていくと、ページが2、3枚程抜けていた。
順番からして、次から大切なグラフやデータが有るはずだ。
あまりにもこんな偶然は有り得ないだろ、と疑う。
知らぬ間に机から落としてしまったのではないか、と足元も探したが、それでも見当たらない。
きっと、書庫の棚に零してしまったのかもしれない。
又もや、あそこにお世話になるのか、仕方ない。
そう思って、立ち上がった瞬間、視界がかすんだ。
それと同時に、足が覚束なくなり、思わず机に手をつく。
「咲宮さん、大丈夫か?」
隣に座るおじさんが、キーボードの手をわざわざ止めて、自分の方を覗き込む。
「…はい、大丈夫です。ちょっと、書庫に行ってきます」
「おぉ、気をつけろよ」
心配をかけるのは、あまりにも申し訳ないと思い、なるべくの笑顔をつくった。
そして、目的の場所へ向かっているはずの足取りは重く、いつもの廊下も長く感じていた。
歩いているはずなのに、距離が何一つ変わらない感覚だった。
いつもの廊下なのに、空間が歪んでいるかの様に気分が悪い。
気づいた時には息も上がり、体に力も入らず壁に寄り掛かり、座り込んでいた。
体こそ言うことを聞かないけど、少し無理して踏ん張れば、何とかなるんじゃないか。
朦朧とする頭で、そんな事を考えていた。
立ち上がる準備をしようとしていた、そんな時だった。