内実コンブリオ
「大丈夫かっ!」
聞き覚えのある声が、痛い頭によく響く。
あまり情けない姿を見られたくはない。
角野先輩が来てくれたおかげで、少しの正気を取り戻した。
あくまで、そんな気がするだけだけれど。
立ち上がろうかとした時、肩に手がかかった。
「そんなに体調悪いんか?!」
「…大丈夫です」
せっかくたった今、立ち上がろうとしていたというのに、肩を強く掴まれてしまえばそれが出来なくなってしまう。
目線を合わせる様にしゃがんでくださる、角野先輩の必死な顔がよく見えた。
今まで、そしてついさっきまで。
あんなに冷たかった先輩が、また別人に見える。
元に戻った、というものではあまりにもなく、また新たな顔、という感じだった。