内実コンブリオ
「大丈夫です…どうぞ…お構いなく…」
また、構うな、という類の言葉を言われた。
いい頃加減わかってほしい。
せめて俺だけでも、頼ればええのに…!
そこから、俺の中の何かが爆発した。
「あかん時はちゃんと言えよ、あかんって!!」
感情のまま、吐き出した。
微かに驚きの表情をする華ちゃんを見ても、罪悪感などは少しも無かった。
わかってほしかったからや。
とりあえず、自力で立つことが出来そうもなかったから、抱き上げて無理矢理にでも歩かせた。
手を引いとる間、どこに行くのか、放してくれ、と言わんあたりかなり弱っとるんやな、とわかった。
医務室のドアにノックし、開けたと同時に彼女の腕を掴んでいた右手が重くなった。
何事かと思って振り向けば、また座り込んでいた。
同じくしゃがみ、声をかけようとしたが、息も上がり、今度は辛さを包み隠す余裕もないらしく。
その証拠に何の躊躇もなく、俺の胸に倒れ込んできた。
正常な華ちゃんなら、きっと有り得ない。
「お、おい。は、華ちゃん…?」
結局、返事は返ってきやしやんかった。
こんな状況で不謹慎かもしれやんけど、華ちゃんからこんな風に来てくれて、ちょっと変な気持ちになったのは、紛れも無い事実。
そして、さっきまで苦しさに歪めていた顔は、柔らかい表情に戻っていた様に見えた。