内実コンブリオ
…かと言って、これは使いすぎだろ。
完全に表情と言葉の最大積載、重量ともにオーバーだ。
溢れ出し、黒いオーラとなり、この空間を制圧している。
今度はなんて上手いこと言っているんだ、俺は!
いや、別にそんな事はどうでもいいか。
「お、お前は何言ってんだよ。冗談…やめろよな…」
そのうち俺もこの空間に飲み込まれそうだ。
声が震えて、俺の口からは情けない音しか出ない。
そんな俺とは裏腹に、やけにしっかりとした低めの声で水川は言う。
「あ?冗談ちゃうわ。常識っちゅうもんを知らんから、教え込んだろゆうとるだけやわ」
こいつも頭おかしいんじゃねーのか?
俺は、脳内花畑って意味でだが、こいつの場合は全く違う。
水川の頭の中は沼の様だ。
それも真っ黒の。
「お前も正直、気にいらんのやろ?」
「俺はっ―」
「ダチやんなぁ、俺ら」
こいつ、変なところで友達って言葉を使いやがる。
その言い草はまるで、女子特有のねちっこさだ。
「まぁ別に俺はお前がどうとか、どうでもええけど」
その時の俺は情けないことに友達という言葉の恐怖に負けた。
そして、俺は同盟という名のいじめグループに所属するはめになってしまったのである。
ここから先の出来事は、涙なしでは語れない、俺が個人的に。
変な同盟を組まされて、数日後。
太田大門という奴ともつるむ様になる。
こいつも同じ野球部だ。
今後、3人で行動することが多くなっていった。